倫理的市場の経済社会学

自生的秩序とフェアトレード

著者 畑山 要介
ジャンル 社会学
経済学
出版年月日 2016/11/20
ISBN 9784762026799
判型・ページ数 A5・336ページ
定価 本体5,500円+税
在庫 在庫あり

これまで倫理的な経済に理解を与えてきた図式を相対化し、「自生的秩序論」の地平からこの新たな潮流に対して理解を与えることを目的とする。

フェアトレードの転換を倫理的市場という新たな枠組みの台頭との関連で分析し、説明。倫理的市場、特に「公正な取引」をめぐるその市場の形成をめぐって分析を展開する。

倫理的な経済のあり方をとらえなおすための理論的考察、フェアトレードの「転換」をめぐる考察、現在の日本におけるフェアトレードの普及を支える団体・企業・消費者についての考察の展開、これら3つの部によって構成され、それぞれの部において設定された問題について検討をすすめるなかで、倫理的市場の可能性と限界を明らかにしていく。

まえがき

序章 問題の所在

はじめに
1 倫理的市場の台頭
2 フェアトレードの「転換」
3 行為と秩序の連関
4 規範・諒解・共生
補論 予備的考察――経済社会学の基礎カテゴリー
(1)価値と交換(2)市場と競争(3)公正な取引(4)慣習律と制定律
結び

Ⅰ部 倫理的市場の理論

1章 自生的秩序としての倫理的市場
   ――「倫理的市場のパラドクス」の脱パラドクス化
はじめに
1 倫理的市場とは何か
2 倫理的市場のパラドクス
3 自生的秩序論の理論的認識
(1)メンガーの問い(2)ハイエクの自生的秩序論
4 主観主義
(1)シュッツによるパーソンズへの批判
(2)目的動機と理由動機
5 ルールに従うとはいかなることか
(1)パースペクティブの反射
(2)いかにしてルールは学習されるか
6 経済の社会的制御
(1)埋め込み概念と開放システム理論
(2)オートポイエティック・システム
(3)埋め込みから構造的カップリングへ
結び

2章 社会的経済と倫理的市場の分水嶺
   ――K.ポランニーとF.ハイエクの社会観をめぐって
はじめに
1 2つの「ホモ・エコノミクス批判」
2 ポランニーによる新古典派経済学批判とその射程
(1)市場経済の特殊性(2)人間の経済(3)機能的社会主義
3 ハイエクによる新古典派経済学批判とその射程
(1)均衡分析批判(2)市場と抽象的ルール(3)設計主義的合理主義批判
4 2つの社会観の分水嶺
(1)共通点と相違点の整理(2)ツリー型社会とリゾーム型社会
5 ハイエクの理論と倫理的市場
(1)「社会正義」批判 (2)ハイエクにおける利他の位置
結び
I部の結び

Ⅱ部 フェアトレードの転換

3章 フェアトレードの市場志向的転換――歴史的展開とその構造的背景
はじめに
1 フェアトレードの多層性
2 フェアトレードのルーツ
(1)慈善貿易 (2)開発貿易 (3)連帯貿易
3 市場経済に対する抵抗運動への発展
(1)自由市場への抵抗 (2)国際協会の設立
4 市場志向的転換とメインストリーム化
(1)市場志向の台頭 (2)カフェダイレクトの革新
5 転換の社会的背景
(1)ポスト福祉国家的社会編成とNPOの経営論的転回
(2)社会的企業と企業の社会的責任の台頭
6 認証ラベル制度とその影響
(1)認証ラベル制度の登場とその拡大
(2)2000年代におけるフェアトレードの普及
(3)日本のフェアトレード事情
結び

4章 認証ラベルの機能 ――経済と社会の構造的カップリング
はじめに
1 フェアトレード市場の形成
2 FLO認証の仕組み
3 FLO認証の基準
(1)一般基準 (2)商品別基準
4 認証制度による経済システムの自己規制
(1)企業の合理的選択としての認証取得 (2)経済と社会の構造的カップリング
5 市民規制の原理
(1)規制のプライバタゼーション (2)外部制御から内部制御へ
6 認証ラベル間競争とその意味
(1)レインフォレスト・アライアンス認証(2)競争を通じたルール
結び

5章 認証ラベル論争の分析と解釈――提携型フェアトレードと認証型フェアトレード
はじめに
1 論争の背景と経過
(1)論争のコンテクスト(2)認証ラベル論争への発展とその経過
2 提携型からの批判
(1)第1の論点――フェアトレードの普及に関する逆機能
(2)第2の論点――対価の享受の限定性
3 認証型からの応答
(1)第1の論点に対する応答――「社会の目」の内部化
(2)第2の論点に対する応答――機会の公正
4 論争をめぐる解釈
(1)市場と公正
(2)提携型の限界/認証型の限界
結び

Ⅲ部 倫理的市場の展開

6章 民衆交易事業の展開と現状――岐路に立つ提携型フェアトレード
はじめに
1 民衆交易の背景と問題意識
(1)途上国における構造的暴力への抵抗
(2)日本における市民的オルタナティブの実現
2 事業の形成と展開
(1)バランゴンバナナの輸入の開始
(2)事業の経過
(3)非営利活動としての民衆交易
3 民衆交易の条件
(1)ATJの商品販売経路とその消費者像
(2)生活クラブの社会観
4 個人化のなかの生協と民衆交易
(1)生協を取り巻く環境の変容
(2)変化のなかの民衆交易
5 岐路に立つオルタナティブ
結び

7章 People Treeのファッション化戦略
   ――社会的企業によるフェアトレードの意義
はじめに
1 サフィア・ミニーとPeople Tree
(1)チャリティではなくビジネスで
(2)People Treeの事業形成の過程
2 People Treeの戦略
(1)ファッションとしてのフェアトレード
(2)オピニオン・リーダーを通じた宣伝
(3)舞台としての消費社会
3 フェアトレード・ファッション
(1)影響力の不可欠性
(2)オルタナティブ・ヘドニズム
(3)ツリー型からリゾーム型へ
4 フェアトレード・ファッションの課題
(1)企業家とリスク
(2)リスクの請け負いの公正
結び

8章 倫理的消費の台頭
   ――自由選択を通じた公共社会の形成
はじめに
1 消費社会と倫理的消費
(1)消費社会批判と消費者運動
(2)消費者運動から倫理的消費へ
2 消費の脱物質主義的転回
(1)脱物質主義化論
(2)高度消費社会の特徴としての倫理的消費
3 倫理的消費者の特徴
(1)倫理的消費者像の分類
(2)自己実現欲求にもとづいた倫理的選択
4 フェアトレード商品の購入者層の分析
(1)フェアトレード商品の購入者の概要
(2)変数
(3)分析結果
結び

終章 倫理的市場の行方
はじめに
1 ニーズを通じた経済システムの制御
2 消費者主権の陥
3 目的合理性と価値合理性
4.ニーズからルールへ
結び

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