「〈子ども学〉論集」が『日本教育新聞』の書評に掲載されました。 - 2024.04.16
現代社会福祉概論
本書は、そうした点を踏まえつつ、社会福祉の法制度をわかりやすく解説することを主眼に編纂した。たとえば、データや資料などはできるだけ最新のものを用い、とくに新しくなった法制度の内容などについては的確に述べることとした。また本書は、テキストとして執筆するという制約から、福祉改革の問題点について深く言及することはできなかったが、社会福祉を本質的に捉えることにカ点を置いている。これも本書の特徴である。すなわち、目の前の現象やデータだけにふりまわされるのではなく、社会福祉の意義・本質をその成立の歩みの中から考えていただきたいという意図のもとに、他のテキストに比してその部分を重くした。社会福祉を学ぶには、断片的・一面的ではなく、全体として捉え、広い視点をもつことが必要だが、本書はそうした点を考慮し、従来のテキストの範囲を超え、社会保険の各制度や社会福祉関連施策をも詳述している。これもまた本書の特徴である。そして、テキストとしての性格上、読者の便いやすさを重視し、巻末には年表・索引をあげておいた。
社会福祉の法制度の役割や課題を学ぷことによって、社会福祉を必要とする人ぴとの生活に思いを馳せることができる。いかなる時代にあっても、経済発展から取り残され、社会の中で無視され、抑圧されている人ぴとがいることを忘れてはならない。むせかえるような空気の街角に横たわるホームレスの人たち、人の命を奪うまで人間性を喪失した少年たち、何年も薄暗い部屋にこもりきりの不登校や引きこもりの青年たち、愛をそそいでくれるはずだった親に虐待され死んでいく幼い子どもたち、わずかな年金でひっそりと暮らす老人たち。
社会福祉とは、真にこのような大衆の人間的生存の保障と福祉の増進に傾注すべき学問である。“誰もが人間として尊巌をもって生き抜くために「社会福祉」はどうあるべきか”を、私たちは問いつづけていきたいと思う。
はじめに――社会福祉を学ぶ意義
第1節 社会福祉の理念と意義 第2節 社会福祉の歴史と展開
1 現代社会と社会生活問題 1 社会福祉の歴史を学ぶ意義
2 社会福祉制度・方策の認識 2 イギリスの社会福祉の歴史
3 社会福祉の理念 3 アメリカ社会福祉の歴史
4 社会福祉の意義 4 日本の社会福祉の歴史
第3節 社会福祉の基盤・機能・範囲 第4節 社会福祉の主体と対象
1 社会福祉の基盤 1 社会福祉の主体考察の意義
2 社会福祉の機能 2 社会福祉の主体とは
3 社会福祉の範囲 3 福祉多元主義(福祉ミックス)
第5節 社会福祉の対象
1 社会福祉の対象考察の意義
2 社会福祉の対象とは
3 対象把握とニーズ論
第2章 社会福祉の二ーズと地域福祉
第1節 社会福祉ニーズの変容 第2節 地域福祉の内容と推進組織、担い手
1 福祉ニーズの変容 1 地域福祉とは何か
2 ニーズの多様化の意味 2 地域福祉の推進組織と担い手
3 二ーズの充足48
第3節 地域福祉計画およぴ財政
1 地域福祉の計画化
2 地域福祉の財政
第3章 社会福祉の法体系ど運営組織
第1節 社会福祉法制の体系 第2節 社会福祉の運営組織
1 社会福祉に係わる法律 1 国(厚生労働省)
2 憲法と社会福祉法制 2 地方公共団体
3 社会福祉法人
4 社会福祉協議会
5 その他の運営組織
第3節 福祉サービスの提供と利用(利用者保護制度を含む)
1 生活保護
2 児童福祉
3 身体障害者福祉
4 知的障害者福祉
5 高齢看福祉
6 利用者保護制度
第4節 社会福祉の財政と費用負担
第5節 社会福祉における公私の役割、調整
第4章 社会保険各制度の概要
第1節 公的年全 第2節 医療保険
1 国民年金 1 健康保険
2 厚生年金保険 2 国民健康保険
第3節 労働保険 第4節 介護保険
1 雇用保険 1 制度の概要
2 労災保険 2 保険給付の手続およぴ内容
3 費用の負担
第5章 社会福祉接助技術の原理と体系
第1節 社会福祉援助技術の発展 第2節 社会福祉援助技術の原理
1 社会福祉援助技術の分類 1 原理の捉え方
2 社会福祉援助技術の発展 2 社会福祉援助技術の原理
3 日本における発展
第3節 直接援助技術
1 援助技術(ソーシャルワーグ)の実践モデル
2 個別援助技術(ソーシャル・ケースワーグ)
3 集団援助校術(ソーシャル・グループワーグ)
第4節 間接援助技術
1 地域援助技術(コミュニティワーク)
2 社会福祉調査法(ソーシャルワークリサーチ)
3 社会福祉運営管理(ソーシャルアドミニストレーション)
4 社会活動法(ソーシャルアクション)
5 社会計画法(ソーシャルプラニング)
第6章 福祉資格法の成立と内容
第1節 社会福祉従事者の概要 第2節 社会福祉従事者と専門性
1 社会福祉従事看の現状 1 専門性とは何か
2 専門職と非専門職 2 専門職の養成およぴ研修
第3節 福祉資格法の目的と内容
1 福祉資格法の目的
2 福祉資格法の内容
第7章 社会福祉の諸施策
第1節 生活保護 第2節 児童家庭福祉
1 生活保護の考え方 1 児童家庭福祉の意義と理念
2 生活保護給付の種類と内容 2 児童家庭福祉の実施体系と内容
3 行政組織と費用負担 3 児童家庭福祉の動向と謀題
4 保護の要否判定と程度
5 被保護看の権利・義務と不服申立て
6 生活保護の動向と課題
第3節 障害者福祉 第4節 高齢者福祉
1 障害者福祉と「障害」の理解 1 高齢者福祉の理念
2 障害者福祉の制度と理念の展開 2 高齢者福祉サービスの内容
3 身体障害者の福祉施策 3 高齢者福祉の動向と課題
4 知的障害者の福祉施策
5 精紳障害者の福祉施策
6 障害看福祉の課題
第8章 社会福祉関連施策
第1節 教育施策 第2節 住宅施策
1 学校教育 1 公営住宅法
2 障害児教育 2 都市基盤整備公団法
3 生涯教育(学習) 3 住宅金融公庫法
第3節 雇用施策 第4節 その他
1 高年齢者雇用安定法 1 ハートビル法
2 障害者の雇用の促進等に関する法律 2 法律扶助制度
年表
索引